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倒壊しにくい家をつくることは可能ですが、どこまで補強すれば大丈夫、という基準も実際にはあり得ないために、際限なく費用がかかってしまいます。 耐震補強の技術的優先順位は、いかにして建物の1階部分を潰さないようにするかが大切であるといえるでしょう。
耐震診断の判定については、現行の建築基準法上の耐震性能を満たしているか否かで行うことが実質的であり、国士交通省住宅局建築指導課の監修による「木造住宅の耐震精密診断と補強方法」にその具体的方法を求め実施することが一般的手法と考えられています。 耐震性能に対する考え方をどの基準に設定するか、たとえば「家は壊れても倒壊しなければ命だけは守れる」との考え方もあれば「少しでも壊れないようにしたい」と願うのか、その要求するところは際限がないのですから、耐震性能の確保においては経済性の許容範囲のうちで耐震補強方法を決めることになるでしょう。
なお、耐震性を確保するための構造工学的な手法については、構造技術者によって意図するレベルが違うため、住宅など建築物を建てるときには、その内容についての説明を受けるようにしましよう。 少なくとも構造技術力をもつ技術者を家づくりのパートナーとするべきです。
木造住宅の耐震診断は、構造計算によってその安全性を確認するか、構造計算によらない場合は、日本建築防災協会が作成した「わが家の耐震診断」や「木造住宅の耐震精密診断」といった診断方法によって行います。 伽日本建築防災協会による耐震診断法は、過去の地震被害や耐震研究の成果と建築基準法の耐震規定などを元に作成されたもので、前者は一般の建築主が自分自身で、後者は専門家による診断を行うためのものとなっています。
ここにその診断方法の概略を紹介しておきましょう。 六つの評価項目について適切な評点を選び、各評点を乗じて総合評点を求めることによって、木造住宅の概略的な耐震診断を行うことができるものです。

評価項目は次のとおりとなっています。 量的に判定可能な偏心の程度によるB×Cの評点を選び、Dの「筋かい」とEの「壁の割合」を地震時の水平力に対する抵抗力の大きさを表す「水平抵抗力」としてD×Eの評点を選ぶことで、より専門的な診断が行えるようになっています。
総合評点は「わが家の耐震診断」同様、A×(B×C)×(D×E)×Fとして、その値によって評点判定を行います。 判定は、総合評点が30であれば建築基準法施行令で要求している最低限度の耐震性があるとみなして、この値を「一応安全である」という判定の下限値としています。
総合評点が川未満の場合は、補強改修などの対策を講じる必要があるとし、総合評点が3以上であっても部分的な欠陥がある場合には、その程度に応じた対策を講じる必要があるとしています。 すので、一度試してみてはいかがでしょう。
ただし、現行実施されている木造住宅の耐震診断法には難点があり、その部分の克服の方法や度合いによって精度が大きく異なってもきます。 難点というのは、耐震診断における前提条件である、建物周囲の地盤条件、床下部分、構造耐力上主要な軸組(柱・梁・桁・胴差・筋かいなど)、継手・仕口、水平構面の剛性、で何度も説明しているとおり、こうした部分は、完成した住宅ではなかなか確認することができません。
この前提条件とされる部分の欠陥こそが必要情報であるにもかかわらず、そこが不明瞭であれば、耐震診断判定表の数値を導き出してもその信頼性は低くなるといわざるを得ません。 あくまで一つの目安としてのものですので、らの方法で診断した場合には、結果を鵜呑みにせず、慎重に改修方法を検討する必要があるでしょう。
現行の耐震診断は、診断を行う実務者の技術力や経験や裁量にゆだねられているため、定量的な判定を行うことは非常に難しいといえます。 構造計算や耐震診断法を用いるための前提条件となる施工精度や老朽の度合い、劣化の度合い、暇庇の有無などが、耐震性能に大きな影響を与えるため、その情報を既存の木造建築物からいかに正確に引き出すかが、耐震性能判定の結果を左右するからです。
目視によってこうした情報を引き出すには限界があります。 そのため、らの難点を克服して現行の耐震診断法を補助する、耐震改修後の耐震性能の確認をする方法として「常時微動測定」による方法が評価されてきています。
常時微動測定による方法とは、既存の建築物の耐震性能を、実在する建物から直接実測評価をする方法として、建築物の動特性評価を行うものです。 微動の振動源である自然の脈動、鉄道・自動車などの交通振動、工場や工事などによる地盤振動などの人工的振動を原因として、どこの地盤であっても、いわゆる常時微動といわれる微小な振動が起こっています。
その地盤上に建っている建物も同じように振動を行っていることから、このような微動の水平動2方向の成分を地盤と建物の適切な場所で測定し、それを解析することにより建物の動特性を調査するのです。 在来工法の木造住宅の場合、常時微動測定による解析で得られる数値情報として、次の要素が挙げられます。
それぞれの建物がもつ固有の周期のこと・周期とは建物が1回揺れるのに要する時間のことで、周波数を分母にとったものです固有周期は、建物の剛性と質量で決まります。 すなわち、建物の剛性が小さいほど、建物の上部質量が大きいほど固有周期は大きくなり、固有周期が大きいほど地震に対して被害を受けやすい建物であると考えられます。

減衰力とは振動エネルギーを吸収する力であり、減衰常数はその力を表します。 したがって、減衰常数が大きいほど振動が減衰しやすく、耐震性のある建物と考えられます。
ある周期の地盤の振動に対して、どれだけ建物の2階の振動が大きくなったかを示す値です。 最大振幅倍率が大きいほど、地震の際に建物の振動が大きくなり、地震に対して被害を受けやすい建物であると考えられます。
一般的に、構造計算上は、耐震性能評価や耐震改修効果の確認を、耐震判定表を用いて行うことになっていますが、ここでいう常時微動測定では直接、耐震判定表を用いた評価はできません。 常時微動測定によって得られる建物の固有振動数は、建物全体の水平剛性と密接な関係にあり、耐震判定の評価点に水平抵抗力としての要素が関係しています。
平面上の多くの点を同時に測定することにより、ねじれ振動の大小を検証することができ、平面上の剛性率比を推測して数値化することもできるため、現行の耐震精密診断との整合性を意図した関係要素の解析は可能であるといえます。 現行の耐震診断手法と併せ用いることにより、対象建築物の耐震性能をより精密かつ精度よく評価判定することが可能になるといえるでしょう。
たとえば、現行の耐震診断法によって改修計画を構造計算上判定評価する場合、耐震改修の効果確認の方法として、改修工事前と改修工事後の常時微動を測定することにより、調査対象建築物の耐震性能判定は精度の高い評価を行うことができ、その判断は改修効果を倍数表示することができます。 実際に耐震改修を行うときには、耐震診断の結果にもとづいて、合理的な耐震補強・改修の設計をする必要があり、部分的な欠陥がある場合はそれらをまず補修しなければなりません。

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